これから看護師国家試験を受験する看護学生さん。自分が受験するときの出題基準や出題傾向が気になりますよね。
だけど、「どうやって確認すればいいの?」「人によって言ってることが違うんだけど。」などさまざまな声を聞きます。
この記事では、以下の内容について詳しく解説しています。
- 看護師国家試験の出題基準
- 看護師国家試験で問われている問題の特徴
- 今後の傾向と対策
厚生労働省の報告書をもとにしているので、信頼性の高い情報で内容をまとめています。
出題基準や傾向を知って効率的に勉強したい看護学生は、ぜひ最後まで読んでみてください。
看護師国家試験の出題基準は?
看護師国家試験の出題基準は、「保健師助産師看護師国家試験出題基準」が厚生労働省から発表されています。
2024年度看護師国家試験の出題基準である「令和5年版 看護師国家試験出題基準」は、以下ボタンよりダウンロードできます。
一部抜粋すると、このようになっています。

確認してみると、次のような2つの特徴があることに気が付くと思います。
- 問題に目標が定められている
- 大項目・中項目・小項目と分類されている
問題ごとに、どのような知識を身に着けておくべきかが記載されているので、事前の確認が必須です。
また、出題基準を確認すれば、勉強の進捗を確認したり、得意・不得意を明確にできたりと効率よく勉強のスケジュールを立てることができます。
看護師国家試験の問題は3種類
看護師国家試験の問題は「必修問題」「一般問題」「状況設定問題」と大きく3つに分けられています。それぞれの問題がどのようなものか簡単にまとめました。

看護師国家試験では、問題解答に要する知的能力を分類した評価領域分類(Taxonomy)が使用されています。
のちほど詳しく解説していきますが、「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書」では、次のような記載があります。
看護師国家試験の必修問題は評価領域分類(Taxonomy)Ⅰ型で出題されており、必修問題の趣旨からすると妥当である。状況設定問題は概ねⅡ型及びⅢ型で出題されている。状況設定問題においては、教育で培われた状況判断や実践能力を問う必要があることから、引き続き、Ⅱ型及びⅢ型で出題することが望ましい。また、一般問題については、引き続きⅠ型もしくはⅡ型を中心に出題することが望ましい。
令和3年 医道審議会保健師助産師看護師分科会 保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書
つまり、知識のみ問われるのではなく、知識の応用や問題解決能力を看護師国家試験までに身に着けておく必要があると分かりますね。
看護師国家試験で使われている評価領域分類(Taxonomy)について
評価領域分類(Taxonomy)とは、教育目標毎に問題の解答に要する知的能力をⅠ型~Ⅲ型に分類したものです。
ざっくりと、どんな問題が該当するのか見ていきましょう。
Ⅰ型(単純想起型)

単純な知識の想起によって解答できる問題で、必修問題を作るときに意識されています。
覚えてた知識を思い出し、そのまま解答に反映させるだけなので「単純想起型」と言います。
マズロー,A.H.の基本的欲求階層論で最も低次の欲求はどれか。
1. 自己実現の欲求
2. 所属と愛の欲求
3. 生理的欲求
4. 安全の欲求
1. 自己実現の欲求
マズローの欲求階層論で、最も高次の欲求である。
2. 所属と愛の欲求
マズローの欲求階層論で、上から3番目の欲求である。
3. 生理的欲求
マズローの欲求階層論で、最も低次の欲求である。
4. 安全の欲求
マズローの欲求階層論で、上から4番目の欲求である。
Ⅰ´型(推定型)

今までに学んできた知識に基づいて、常識を働かせれば解答できる問題です。
知識があった方が確実に解けますが、知識がなくても一般常識から推定して解ける問題なので「推定型」と呼ばれています。
看護師としての「倫理観」や「価値観」が問われる場合が多いです。
緩和ケアについて正しいのはどれか。
1. 患者の家族は対象に含まない。
2. ケア計画は多職種が話し合って立案する。
3. 疼痛コントロールの第一選択はモルヒネである。
4. 根治的な治療法がないと医師が説明したときから始める。
1. 患者の家族は対象に含まない。
これまで日本における緩和ケアの対象は癌患者のみであったが、「緩和ケアは死に至るすべての患者と家族を対象にする」という変化が起こってきている。
2. ケア計画は多職種が話し合って立案する。
ケア計画は、患者のQOLを高めるために多職種が協働して話し合い、1人ひとりにあった計画を立案する。
3. 疼痛コントロールの第一選択はモルヒネである。
「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020」では、痛みの程度に合わせて非オピオイド鎮痛薬・オピオイド鎮痛薬を選択し、患者教育など非薬物療法を組み合せて疼痛コントロールを行う。
4. 根治的な治療法がないと医師が説明したときから始める。
緩和ケアは、苦痛を取り去る治療であるため、終末期に限らず診断された早期から始めるべきである。
Ⅱ型(解釈型)

問題文で与えられた情報を理解・解釈して、その結果に基づいて解答する問題です。
知識はもちろんのこと、その知識から対象者の状態を理解・解釈する問題が問われるため「解釈型」と言います。
短文の問題や状況設定問題に使われています。
Aさん(34歳、女性)は、気管支喘息で定期的に通院をしている。朝から喘息発作があり呼吸困難が生じたため、救急外来を受診した。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%、動脈血液ガス分析(room air)で動脈血酸素分圧〈PaO2〉90Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉55Torr、pH7.30、HCO3–25mEq/Lであった。
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
1. 呼吸性アシドーシス
2. 呼吸性アルカローシス
3. 代謝性アシドーシス
4. 代謝性アルカローシス
1. 呼吸性アシドーシス
pHが低く、PaCO2が高いので、呼吸性アシドーシスと考えられる。
2. 呼吸性アルカローシス
pHが7.30と低値で、アルカローシスではない。
3. 代謝性アシドーシス
pHが7.30と低値でアシドーシスである。しかし、HCO3–は25mEq/Lで基準値内なので、代謝性ではない。
4. 代謝性アルカローシス
pHが7.30と低値で、アルカローシスではない。
Ⅲ型(問題解決型)

知識の応用や複数のデータや状況の分析、各要素をまとめ上げる能力を要する問題です。
たくさんある情報から取捨選択する力や優先順位を決める力が問われます。
問題文の理解だけでなく、選択肢の理解も重要なため読解力が重要になってきます。
Aさん(28歳、女性、美容師)はゴルフが趣味である。同居しているパートナーと1週前にゴルフに行った後から、顔面の紅斑、微熱、全身倦怠感および手肢の関節痛が現れた。病院を受診したところ、全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され入院した。Aさんは看護師に「これまで病気をしたことがなかったので、驚いています」と話した。
バイタルサイン:体温37.4℃、呼吸数18/分、脈拍64/分、整、血圧110/60mmHg。
血液所見:赤血球260万/μL、Hb9.0g/dL、白血球7,600/μL、血小板18万/μL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、CRP0.7mg/dL、直接Coombs〈クームス〉試験陽性。
尿所見:尿蛋白(-)、尿潜血(-)。
神経学的検査:異常所見なし。
12誘導心電図:異常所見なし。
胸部エックス線写真:異常所見なし。
Aさんに生じている可能性が高いのはどれか。
1. 心膜炎
2. 溶血性貧血
3. ループス腎炎
4. 中枢神経ループス
1. 心膜炎
心膜炎はSLEでみられる症状である。しかし、12誘導心電図・胸部エックス線写真に異常所見はないので心膜炎を起こしている可能性は低い。
2. 溶血性貧血
血球減少はSLEでみられる症状である。血液所見において赤血球数、Hb値の低下がみられ、溶血性貧血が生じていると考えられる。
3. ループス腎炎
ループス腎炎はSLEにみられる病態である。しかし、尿所見では、尿蛋白・尿潜血は(-)、血清クレアチニンも基準値から大きく逸脱していないので、ループス腎炎を起こしている可能性は低い。
4. 中枢神経ループス
SLEにみられる中枢神経ループスは、認知機能障害、精神症状、脳内出血など多彩な中枢神経障害を呈する。神経学的検査には異常所見はなく、中枢神経ループスを起こしている可能性は低い。
看護師国家試験では判断プロセスを細かく分解して問われている
看護師国家試験は出題の意図を明確にするため「内容別類型」を使用しています。
内容別類型は、次の4種類です。
- 経時的に変化する状況の中で展開する看護活動等を問う問題
- 看護における思考や判断プロセスを問う問題
- 個人・家族・集団・地域など、多様な対象や状況に展開する看護活動を問う問題
- これらが複合している問題
そのうち、「看護における思考や判断プロセスを問う問題」に関しては、出題内容に合わせて、以下のように細かく分類され出題されています。
- 判断プロセスについて問う
- 判断そのものを問う
- 判断するために必要な情報は何かを問う
- 情報を列記した中で優先度を問う
- 介入結果から判断の根拠を問う
知識を点で覚えるのではなく、点をつなげていき順序をたどって勉強していくようにしましょう。
看護師国家試験は過去問が活用されている
「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書」には、次のような記載があります。
既出問題の活用は、難易度の安定化の観点からも有用であり、引き続き活用する。 看護師国家試験における必修問題は、看護師にとって特に重要な基本的事項を問うものであることから、限られた範囲の中で繰り返し問うことが妥当であると考えられる。そのため、重要な基本的事項を繰り返し出題するなど、必修問題においてはより積極的に既出問題を活用していく。
令和3年 医道審議会保健師助産師看護師分科会 保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書
したがって、過去問を何度も解きなおし、理解を深めていくことが何よりも重要になります。
特に、必修問題は過去問を積極的に活用していくと書かれており、過去問を徹底的にマスターしておくことが合格への近道と分かります。
よく予想問題集はやったほうがいいですか?と聞かれますが、過去問すべてを理解して説明できるようになったら解いてもいいと答えています。
過去問を2-3周やっても、苦手な部分や覚えきれない部分がある場合は、そちらを優先してください。
看護師国家試験では、視覚素材を用いた問題は今後も積極的に出される
視覚素材に関しても「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書」には、次のような記載があります。
視覚素材については、所見や状態、医療機器や物品など、そのものについて直接的かつ詳細には文章で問うことが難しい問題や、処置及び看護技術など写真を用いることでより具体的に問うことができる問題などにおいては、視覚素材が有効に活用され、正確に問うことができている。より臨床に則した出題のために、写真に限らずカラーによる出題やイラスト・図表等を積極的に活用することが望ましい。
令和3年 医道審議会保健師助産師看護師分科会 保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書
イラストも積極的な活用が望まれており、今後もイラストによる問題は出題され続けるでしょう。
過去に出題された視覚素材問題はもちろんのこと、イラストを用いて勉強するようにしましょう。
看護師国家試験の今後の傾向
2007年に超高齢化社会となった日本は、医療費の増加に伴い、在宅医療を進めてきました。
現在でもその傾向は強くなっており、病院から地域への流れが加速しています。
看護師国家試験でも「在宅看護論/地域・在宅看護論」からの出題が増えてきています。
そのため、解剖生理だけでなく、在宅看護に必要な社会保障制度や家族支援などの勉強もしっかりやっていきましょう。
看護師国家試験に向けての対策
看護師国家試験を合格するために、まずは出題基準を確認してからスケジュールを立てます。
「理解科目(解剖生理・社会保障など)」と「暗記科目(統計・概論)」に分けて、理解科目は早期に取り組むようにしましょう。
過去問からの出題が積極的に行われているため、過去問をどんどん解いて、その周辺知識まで勉強をしていきます。
知識がついてきたら、それぞれの知識をまとめていきましょう。点がつながっていくイメージで、勉強した内容が看護プロセスに沿ってつなげられるとよいでしょう。
看護師国家試験の出題基準まとめ
看護師国家試験は、厚生労働省から発表されている「保健師助産師看護師国家試験出題基準」をもとに作成されています。
問題は「必修問題」「一般問題」「状況設定問題」と分かれており、評価領域分類を用いて難易度を調整しています。
知識だけでなく、理解力や問題解決力を問われるのでしっかりと理解をして勉強を進めるように心がけましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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