パーキンソン病は、ドパミンが不足することによって症状が出現するため、何らかの方法でドパミンを補充します。
さらに、ドパミンの効果を持続・増強・延長する薬剤を組み合わせて治療が行われます。
そのため、パーキンソン病の治療では複数の薬を併用するのが一般的で、薬の種類や働き、副作用の違いを理解することがとても大切です。
この記事では、以下の内容をわかりやすく解説しています。
- パーキンソン病で使われる主な薬の作用
- 薬の使い方や注意点
- ドパミンによって起こる代表的な副作用

薬が多すぎて、どれが何のためなのかわからない。副作用も知りたい!
そんな方に向けて、図や具体例を交えながらわかりやすく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
パーキンソン病薬の種類と特徴
抗パーキンソン病薬
L-ドパ製剤

パーキンソン病では、脳内のドパミンが減少します。
ですが、ドパミンをそのまま飲んでも血液脳関門を通れないため、効果が出ません。
そこで使われるのが、ドパミンのもとになる「L-ドパ(レボドパ)」です。
L-ドパは脳に入ってからドパミンに変換されるため、効果が期待できます。

最も効果が高く、副作用が少ないのでパーキンソン病薬の第一選択薬になってるよ!
ただし、L-ドパは体内(末梢)でドパミンに変換されやすく、脳まで届きにくいという欠点があります。
そのため、末梢での分解を抑える薬(カルビドパやベンセラジド)と一緒に服用することが基本です。
また、L-ドパには次のようなデメリットがあります。
- 血中半減期が約1時間と短く、効果が急に切れやすい
- 長期使用や病気の進行によりwearing-off現象、on-off現象、ジスキネジアが出やすい
このため、L-ドパの弱点を補う薬剤の併用が重要になります。
抗パーキンソン病薬の補助薬
カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬

ドパミンは「カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)」によって分解され、3-OMDへと変換されてしまいます。
一方で、カルビドパやベンゼラシドといったDCI阻害薬は末梢でのドパミンへの変換を抑制することで、脳内での有効なドパミン量を増やすことを目的としています。
しかし、DCIでドパミンへの活性化を抑えても、COMTによってレボドパが分解されてしまっては意味がありません。
そこで登場するのが、エンタカポンやオピカポンといったCOMT阻害薬です。
COMT阻害薬の効果は、次の通りです。
- レボドパの分解を抑え、効果の持続時間を延長させる
- on-off現象のon時間(効果が出ている時間)を延ばす

L-ドパ+DCIとCOMT阻害薬を一緒に使われることも多いよ!
注意点として、
- 半減期がL-ドパと同様であるため、L-ドパと同時に内服する必要がある
- 便秘や下痢、ジスキネジアなどの副作用がある
L-ドパとセットで覚えておこう!
ゾニサミド

ドパミンは、以下のように体内で合成されています。
チロシン→レボドパ→ドパミン
チロシンからレボドパへの変換には、チロシン水酸化酵素が関わっています。
その酵素を増やす薬が「ゾニサミド(トレリーフ)」です。
ゾニサミドの作用は次の通りです。
- ドパミン合成促進
- オフ時間の短縮
一方で、副作用としては次のような症状があります。
- ジスキネジア
- 幻覚などの精神症状

この薬も元々はてんかん治療薬として開発されたんだけど、偶然、パーキンソン病患者に投与した時にパーキンソン症状の軽減効果が発見されたよ!
モノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害薬

レボドパは脳内でモノアミン酸化酵素B(MAOB)によって、DOPAC〈ダイハイドロキシフェニルアセトアルデヒド〉に分解されてしまいます。
せっかく増やしたレボドパを分解されてしまっては困るので、
MAOB阻害薬を使って、MAOBの働きを抑えることでドパミンがより長く作用できるようにするのが目的です。
この薬の特徴は、次の通りです。
- 非可逆的に阻害するので、最高40日まで効果が持続
- 初期段階であれば、単剤で治療可能
- on状態を持続させることができる
一方で副作用としては、
- wearing-off現象の出現抑制効果はない
- 長期内服で不随意運動の出現頻度が上昇する
ドーパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、ドパミンの受容体を直接刺激する薬です。
L-ドパに比べて効果はやや穏やかですが、持続時間が長いため、症状の波を抑えるのに向いています。
主な特徴は、次の通りです。
- 半減期が長く、効果が安定している
- 運動合併症(wearing-offやジスキネジア)の出現が少ない
一方で、副作用として次に挙げる症状がみられます。
- 吐き気、便秘、動悸、起立性低血圧
- 幻覚・妄想などの精神症状(特に高齢者に多い)
- 心臓弁膜症(麦角系):特にベルゴリン・ペルゴリドに注意が必要
- 突発性睡眠(非麦角系):運転中や会話中に急に眠ってしまう

ドーパミンアゴニストは、いろんな投与方法があるから患者さんのライフスタイルや症状に合わせて選択できるメリットがあるんだ。
例えば、
- 1日1回の内服薬(長時間作用型):飲み忘れを減らし、効果を安定させる
- 貼付薬(ニュープロパッチ):皮膚から薬を吸収。夜間の症状にも有効
- 注射薬(アポモルヒネ):オフ状態時の「レスキュー薬」として。皮下注射で約10分で効果、持続時間は約1時間
L-ドパを中心として必要時に併用される薬剤として覚えておきましょう!
アマンタジン(シンメトレル)

アマンタジンの作用は次のとおりです。
- 黒質からのドパミン放出を促進させる
- 黒質への再取り込み抑制
これにより、脳内のドパミンの量が増えてパーキンソン病の症状改善が期待されます。
特に、L-ドパ誘発性ジスキネジアに対して有効であると言われています。
一方で、副作用としては
- 口渇
- 食欲不振
- 便秘
また、投与を中止した場合はその後に現れる高体温に注意が必要です。
高齢者や腎機能低下の人は脱水などによりミオクローヌスやせん妄症状が生じることもあります。

もともとは抗インフルエンザ薬として開発されたよ。パーキンソン病患者がインフルエンザになって治療に使ったところパーキンソンの症状が改善したことで、新たな効果が発見されたんだ。その後、脳梗塞後の意欲低下への効果も認められて、多効能の薬として使われるよ。
抗コリン薬
ドパミンと拮抗する物質として「アセチルコリン」があります。
パーキンソン病では、ドパミンが減少してアセチルコリンの作用が強くなってしまいます。
抗コリン薬を使用することにより、脳内のドパミンとアセチルコリンのバランスを回復させるのが目的です。
それによって、
- 安静時振戦の減少
- パーキンソンの全般的な症状が改善するともいわれる
しかし、副作用も多くあります。
- 口渇
- 目のかすみ
- 悪心、食欲不振、便秘
- 排尿障害
- 閉塞隅角緑内障
- 認知機能障害

高齢者や認知機能が低下している患者では使用を控えるように言われているよ
ドロキシドパ(ドプス)
パーキンソン病は、ノルアドレナリンも減少します。
なぜかと言うと、ドパミンはノルアドレナリンの原料だからです。
ドパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン
このように変化するため、ドパミンが減るとノルアドレナリンも減少してしまうのです。
脳内でノルアドレナリンが不足すると「すくみ足」や「立ちくらみ」などの症状が現れます。
ドロキシドパを服用することで、脳内でノルアドレナリンへと変換され、補充されます。
それにより次のような効果が得られます。
- すくみ足の改善
- 起立性低血圧の自覚症状の改善
また、注意点は次の通りです。
- 患者によって効果にバラつきがある
- 嘔気、食欲不振などの消化器症状がみられる
- 幻覚、妄想などの精神症状がみられる

すくみ足と起立性低血圧に効果があると覚えておこう!
インストラデフィリン
大脳基底核にはアデノシンA₂A受容体とドパミン受容体があります。
- アデノシンA₂A:興奮的に働く
- ドパミン受容体:抑制的に働く
正常であれば、興奮と抑制のバランスをとっています。
しかし、パーキンソン病だとドパミンが減少して抑制が弱くなってしまいます。
その結果、アデノシンA₂A受容体によって興奮した神経細胞は、GABAという運動抑制シグナルがたくさん分泌されます。
そして、正常な運動ができなくなるのです。
そこで、インストラデフィリンを投与するとアデノシンA₂Aの興奮を抑えて、GABAの分泌を減らすことができます。
それにより、
- wearing-off現象の改善
- L-ドパの効果増強
副作用としては、
- 幻視・幻覚・妄想などの精神症状
- 嘔気や食欲不振などの消化器系症状

onの状態を長くすることができるよ!
パーキンソン病薬による合併症
wearing-off(ウェアリングオフ)現象
レボドパ(L-ドパ)を長く服用していると、次の服用前に効果が弱くなってくると感じることがあります。
このように薬の効き目が切れてオフ状態になると、
- 体が思うように動かない
- 手足がふるえる
- 気分が落ち込む
などの症状が再び現れるようになります。
これを「wearing-off(ウェアリング・オフ)現象」といいます。
1日のうちに
- 薬がよく効いている時間(オン)
- 効き目が切れている時間(オフ)
を何度も繰り返すため、レボドパの服用量や回数の調整が必要になることがあります。
なぜwearing-off(ウェアリングオフ)現象が起こるのか?
L-ドパの半減期は約1時間と短いため、効果が持続しにくいという特徴があります。
神経終末にドパミン神経が十分に残っていれば、使われたドパミンを再取り込みして保持できるため、効果が1日中安定します。
しかし、ドパミン細胞の脱落が進むと、この「再取り込み・保持」ができなくなり、次のL-ドパ服用前に効果が弱まるという現象が起こってしまうのです。

この現象は年齢が大きく影響していて、70歳以上では出現頻度が軽く、出現しても症状が軽いことが多いよ。
L-ドパの血中濃度変動によるものなので、基本的には予測可能です。
ただし、服用時間が不規則な場合、wearing-offが起こりやすくなります。
- 食事や服薬の時間を一定に保つ。
- 規則正しい生活習慣を整える。
- 生活環境を整え、ストレスを減らす
などの工夫が副作用の軽減につながります。
wearing-off現象への理解を深め、患者さんに合わせた生活リズムの支援を行うことが大切です。
on-off現象
on-off現象とは、L-ドパの服用中に「血中濃度に関係なく」急に症状がよくなったり、悪くなったりする現象です。
例えば、
- 規則的に内服していて、効果が出る時間に急にoff症状になる。
- 逆に、薬を飲んでいないのに突然on状態になる
といったことが起こります。
このような場合、薬の調整だけでは症状の改善が難しいとされています。
一方で、不規則な服薬やL-ドパの血中濃度の変動によって、急に症状が変化するように見えるwearing-off現象であることが多いので
「正しく服薬ができているか」をしっかりと確認する必要があります。
また、on-off現象の他にも、L-ドパの効果がうまく出ないケースがあります。
- delayed on(ディレイド・オン):薬の吸収が遅れて、効果が出るまで時間がかかる状態
- no on(ノー・オン):L-ドパの濃度が効果発現の閾値まで上昇せず、まったく効かない状態
これらが起こる原因は、「嚥下障害」や「消化管運動の遅れ」です。
嚥下機能の評価や必要に応じてL-ドパを水に溶かして吸収を促すなどの対策をします。

ただし、水に溶かして吸収を促す方法はno on(ノー・オン)現象のみ有効なんだ。wearing offや不随意運動(ジスキネジア)は悪化させる可能性があるよ。
ジスキネジア
ジスキネジアとは、ドパミン受容体が過剰に刺激されることにより、意図しない体の動きが現れる状態です。
ジスキネジアの特徴は、
- 軽度な場合:手足や首が少し動き、落ち着かない様子
- 高度な場合:大きく体が動き、椅子から落ちそうになる動きをする
多くは「薬が最も効きすぎている状態(ドーパミン刺激が過剰な状態)」に起こります。
そのため、ジスキネジアが出現した場合は、薬の減量を検討します。

まれに「二相性ジスキネジア」といって、薬の効き始め・薬の切れかけの両方でジスキネジアが出ることもあるよ。その場合は、offの時間帯を改善する治療をするんだ!
しかし、患者さん自身がジスキネジアを「震え」と表現することがあります。
その結果、医師がパーキンソン病の震えと勘違いして薬を増やしてしまい、ジスキネジアが悪化するケースもあります。
そのため、「どのタイミングで、どのような動きがあるか」を観察することがとても大切です。
まとめ

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