細胞膜の構造を細かく勉強している看護学生はとても少ないですが、実はとっても重要なんです!
なぜかと言うと、細胞膜は浸透圧の調節やホルモンで活躍する受容体などがあり、細胞内と細胞外のやり取りを行う上での重要な役割を果たしているからです。
そこで、今回は細胞膜の構造について、詳しく解説していきます。
- 臨床に出てからも使える知識を身に着けたい
- 解剖生理を基礎から学びたい
- 暗記でなく、理解しながら学習したい
このように考えている看護学生に向けて、この記事では
- 細胞膜の構造
- 細胞膜の役割
- 細胞膜にあるタンパク質の機能
- 静止電位と活動電位
上記内容について詳しく解説していきます!
記事の最後には、知識確認として看護師国家試験の過去問を解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
細胞膜の構造

細胞膜とは、細胞の周りを覆っている膜で「リン脂質」からできています。
リン脂質は、水に溶けやすい親水性と水に溶けにくい疎水性があり、水と仲のいい親水性の部分を内側にして並んだ二重構造をしています。
そして、リン脂質の中にいろいろなタンパク質が挟まっています。このタンパク質は浮かんでいて、ある程度自由に動くことができます。
まずは、細胞膜の主成分であるリン脂質の役割から見ていきましょう!
細胞膜の主成分であるリン脂質の役割

細胞膜の主成分であるリン脂質は、大きな物質や水・電解質を通過させることはできません。
一方、分子の小さい酸素やアルコールなどの脂溶性の物質は通過することができます。
なぜかというと、イラストを見てわかる通りスキマの細かい層で出来ていて、外側に疎水性の水をはじく構造になっているからです。
このように、ある物質は通れて、他の物質は通れないものを選択的透過性あるいは半透膜といいます。
しかし、細胞の中には水分や電解質を多く含んでいますよね。
どうやって、水や電解質を通過させているのかというと、リン脂質のあいだに挟まっているタンパク質が細胞内と細胞外の物質のやり取りをしています。
次は、細胞膜にあるタンパク質を解説していきます!
細胞膜にあるタンパク質の種類

細胞膜にあるタンパク質を大きく分類すると「輸送体」「受容体」「酵素」の3つに分類されます。
それぞれの役割について、具体的に見ていきましょう。
細胞膜にあるタンパク質① 輸送体
輸送体は物質を細胞の外と中でやり取りをするのに使われます。
輸送体は、さらに「チャネル」「担体輸送体」「ポンプ」の三種類に分けられます。
チャネル
チャネルというのは、中心部に穴が開いた筒状構造をしています。
この穴は必要に応じて開いたり閉じたりして、濃度勾配を利用して物質を通しています。
ナトリウムチャネル・カルシウムチャネルなどイオンが通過できるチャネルや水分子のみ通過できるアクアポリンなどがあります。
物質は、濃度の高い方から低い方へ移動する性質があります。この性質を利用して、物質を移動させることを濃度勾配と言います。ATP(エネルギー)を使わない移動なので、受動輸送と言われます。
担体輸送体
担体輸送体は、アミノ酸や糖など大きな分子を通します。
シンバルのような構造をしており、特定の物質がくっつくと入り口がふさがって、出口を開いて移動させます。
グルコース輸送体のGLUT2がその代表ですが、看護師国家試験には出たことはありません。
しかし、血糖コントロールに関わる重要な輸送体なので、臨床に出てから勉強しなおすと見かけることが増えると思います!
ポンプ
ポンプは、ATP(エネルギー)を利用して物質を輸送する仕組みです。
エネルギーを使うことによって、濃度勾配に逆らって物質を移動させることができます。
代表的なものには、ナトリウムポンプ、カルシウムポンプ、水素イオン(H⁺)-カリウムイオン(K⁺)交換ポンプなどがあります。
細胞膜にあるタンパク質② 受容体
受容体は、ホルモンや神経伝達物質と結合するタンパク質です。特定の受容体と結合すると、細胞内に変化を起こします。
受容体はホルモンごとに構造が異なるため、特定のホルモンにだけ反応する特徴があります。
受容体もさらに「イオンチャネル型受容体」「Gタンパク質共役型受容体」「酵素共役型受容体」「細胞内受容体」に分類されています。
これらの受容体も重要なので、一つずつ解説していきます!
イオンチャネル型受容体
イオンチャネル型受容体とは、伝達物質が受容体に結合すると輸送体である「チャネル」が開く受容体です。
代表的な例としては、神経接合部にある筋細胞の受容体があります。
たとえば、アセチルコリンが放出されて受容体に結合すると、イオンチャネルが開き、陽イオンが細胞内に流入し、筋収縮が起こります。
詳しくは、神経の部分で解説します!
Gタンパク質共役型受容体
細胞膜に最も多くあると言われている受容体です。伝達物質が受容体に結合すると、Gタンパク質が活性化します。
活性化されたGタンパク質は、近くにある酵素タンパク質に結合して、ATPをcAMP(サイクリックAMP)に変換します。
cAMPは、細胞内で再び使われるので「セカンドメッセンジャー」と呼ばれています。
看護師国歌試験には出題されたことはありません。
しかし、臨床にでて勉強を深堀していくと、セカンドメッセンジャーに関わる薬剤やメカニズムが出てくるので、頭の片隅に入れておきましょう!
酵素共役型受容体
酵素共役型受容体は、伝達物質が受容体に結合して酵素として働くタンパク質が活性化される反応です。
「レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系」が有名で、アンギオテンシン変換酵素は、アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換します。
このように化学反応を促進させる物質を「酵素」と言います。
細胞膜には、このような酵素のもとになるタンパク質が埋め込まれているのです。
細胞内受容体
細胞内受容体は、細胞の中にある受容体です。一方で、これまで説明してきた受容体はすべて細胞の外側にあります。
なぜ、細胞内と細胞外に受容体があるのかと言うと、水溶性物質は細胞膜を通過できず、脂溶性物質は細胞膜を通過できるからです。
ホルモンや神経伝達物質は、水溶性と脂溶性の物質に分けられます。
細胞膜は、水を弾く疎水性の物質で覆われているので、水溶性物質は細胞内に取り込めず、細胞外の受容体と結合することになります。
一方で、脂溶性物質はリン脂質を通過し、細胞内にある受容体に結合して反応を起こします。
リン脂質の構造をしっかりできていれば、この違いはすぐに記憶に残るのではないでしょうか。
細胞膜にあるタンパク質③ 酵素
酵素共役型受容体でもすこし解説しましたが、細胞膜には酵素として働くタンパク質が埋め込まれています。
通常は酵素として働けない構造をしているのですが、受容体に伝達物質が結合することで、構造が変化して酵素として体内で使えるようになるのです。
有名なのは、肺の血管内皮細胞によって産生・放出される血圧調節に関与している酵素の「アンギオテンシン変換酵素」です。
ここまで説明してきたのが、細胞膜にあるタンパク質の特徴です。
細胞膜を介して行われる静止電位と活動電位のしくみ
最後に、細胞膜の電気活動を見ていきましょう。この内容を勉強することで、細胞膜にあるタンパク質の役割が理解できるようになります。
細胞膜の電気活動は、静止電位と活動電位に分けられます。
静止電位

細胞膜には、ナトリウム(Na⁺)チャネル、カリウム(K⁺)チャネル、Na⁺-K⁺ポンプがあります。
刺激のない状態では、Na⁺チャネルは閉じていて、K⁺チャネルは開いています。そして、Na⁺-K⁺ポンプがATPを使って常にNa⁺を細胞外に出して、K⁺を細胞内に取り込んでいます。
そのため、細胞内のNa⁺濃度は低くて、K⁺濃度は高い状態が保たれています。
その影響でK⁺チャネルは、濃度勾配に従って濃度の薄い細胞外に向かって出ていっています。
プラスの電荷を持つK⁺イオンが細胞外へ出ていくので、細胞内は陽イオンが減り、マイナスとなります。
細胞内がある程度マイナスになると、今度は電気的な負の力によって陽イオンであるK⁺イオンが細胞外に出ていくのを引き留める力が発生します。
この濃度勾配によって細胞外にK⁺イオンが移動する力と電気的勾配によって細胞内に引き戻す力が釣り合った状態の電位を静止電位といいます。
神経細胞の静止電位は-70~-60mV、骨格筋や心筋では-90~-80mVと、どちらもマイナスに保たれています。
活動電位

神経伝達物質がイオンチャネル型受容体に結合して刺激を受けると、Na⁺チャネルが開きます。
Na⁺濃度の高い細胞外液から、濃度の低い細胞内にNa⁺が流入します。(濃度勾配)
一方で、K⁺チャネルは閉じます。
閾値を超えると、陽イオンであるNa⁺イオンが一気に細胞内に入ってくるので、瞬間的に細胞内はプラスになります。
これを「活動電位」と言います。
その後、Na⁺チャネルが閉じて、K⁺チャネルが開いて、細胞外にK⁺イオンが出ていきます。
K⁺チャネルが細胞外に出ていくと、いったん静止電位よりも負になる過分極となったのち静止電位に戻ります。
このように、受容体や輸送体を理解しておくことで、体内に起こっている仕組みをすぐに理解できるようになります。
細胞膜に関する看護師国家試験の過去問を解いてみよう!
最後に、細胞膜に関する看護師国家試験の過去問に挑戦してみましょう!
細胞外液に比べて細胞内液で濃度が高いのはどれか。
1. カルシウム
2. ナトリウム
3. カリウム
4. クロール
1. カルシウム
カルシウムイオンは細胞外液に比べて細胞内液の濃度が低い。
2. ナトリウム
ナトリウムイオンは細胞外液に比べて細胞内液の濃度が低い。
3. カリウム
カリウムイオンは細胞外液に比べて細胞内液の濃度が高い。
4. クロール
クロールイオンは細胞外液に比べて細胞内液の濃度が低い。
細胞膜では、Na⁺-K⁺ポンプが常に働いているので、Na⁺を細胞外に出してK⁺を細胞内に取り込んでいます。そのため、細胞内のNa⁺の濃度が低く、K⁺濃度が高くなっているのです。
活動電位について正しいのはどれか。
1. 脱分極が閾値(いきち)以上に達すると発生する。
2. 細胞内が一過性に負〈マイナス〉の逆転電位となる。
3. 脱分極期には細胞膜のカリウム透過性が高くなる。
4. 有髄神経ではPurkinje〈プルキンエ〉細胞間隙を跳躍伝導する。
1. 脱分極が閾値(いきち)以上に達すると発生する。
神経伝達物質が受容体に結合すると、刺激が発生し閾値を超えると活動電位が発生する。
2. 細胞内が一過性に負〈マイナス〉の逆転電位となる。
細胞内は常にマイナスになっているが、刺激がくるとNa⁺が細胞内に流入してプラスになる。
3. 脱分極期には細胞膜のカリウム透過性が高くなる。
活動電位が発生する脱分極時には、ナトリウム透過性が高くなる。
4. 有髄神経ではPurkinje〈プルキンエ〉細胞間隙を跳躍伝導する。
有髄神経では、興奮伝達はランヴィエ絞輪を跳躍伝導する。
標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。
1. 男性ホルモン
2. 甲状腺ホルモン
3. 糖質コルチコイド
4. 甲状腺刺激ホルモン
1. 男性ホルモン
男性ホルモンは脂溶性ホルモン。細胞内に入って細胞内受容体と結合する。
2. 甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは脂溶性ホルモン。細胞内に入って細胞内受容体と結合する。
3. 糖質コルチコイド
糖質コルチコイドは脂溶性ホルモン。細胞内に入って細胞内受容体と結合する。
4. 甲状腺刺激ホルモン
甲状腺刺激ホルモンは水溶性ホルモン。細胞内には入れないので、細胞膜の表面にある受容体と結合する。
全問正解できましたか?間違えてしまった人は、しっかりと復習をしておきましょうね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント