「ブレーデンスケールの評価項目って、そもそもなんだっけ…」
「国試でよく見るけど、このツールで評価できるのってなに?」
実習の記録や国試の過去問を前にして、こんな風に手が止まっていませんか?
はっきり言うと、ブレーデンスケールはただの暗記だけでは通用しません。
「なぜその項目が必要なのか」という根拠まで理解していないと、実習でのアセスメントや国試には全く使い物にならないんです。
この記事では、ブレーデンスケールの誕生の歴史から、各項目の深い根拠、実習での使い方、そして学生が抱える疑問まで丸ごと解決できるようにまとめました。
- ゴロ合わせの丸暗記に頼っていて、すぐ忘れそうで不安…
- 評価表を見ても、実際の患者さんに何点をつけるべきか迷う…
- 国試の過去問が出たときに、確実に正解できる自信がない…
もしこのような悩みに一つでも当てはまるなら、この記事がきっと役に立ちます!
ぜひ最後までご覧ください!
そもそもブレーデンスケールってなに?誕生の背景と歴史
ブレーデンスケールは、バーバラ・ブレーデンの研究チームによって開発されました。
開発者の名前がそのままスケール名になっています。
1980年代のアメリカでは、介護施設での褥瘡の多発が社会問題になっていました。
そこに危機感を持ったブレーデンらは、「組織の耐久性」と「圧迫」の2軸から発生メカニズムを解明。
1,000人以上のデータ検証を重ねてこの6項目を作りました。
日本には1988年に導入され、誰が評価してもブレない客観性と科学的根拠の高さから、今では世界共通の国際基準として使われています。
ブレーデンスケールの6つの評価項目と根拠
褥瘡は、外からの「圧迫・摩擦」が、患者さん自身の「組織の耐久性」を上回ったときに発生します。
この視点を持つとバラバラに見える6つの項目は、次のように整理することができます。

ただ丸暗記するのではなく、それぞれの根拠と一緒に、1つずつ見ていきましょう!
1.知覚の認識
健康な人は、お尻が痛くなると無意識に寝返りを打って圧迫を逃がします。
しかし、以下のような患者さんは、この痛みに気づくことができません。
- 意識障害がある
- 認知症やせん妄で状況判断が難しい
- 脳梗塞の麻痺で感覚が鈍い・ない
- 脊髄損傷で下半身の感覚が完全に消失している
- 鎮静薬や医療用麻薬の影響で痛みに気づきにくい
長時間圧迫がかかり続けると皮膚に血液が届かなくなり、短時間で褥瘡ができてしまいます。
痛みに気づけないため、自分で圧迫を避ける回避行動がとれない状態にあると考えるとイメージしやすいですね。
「知覚の認識」を評価する基準
「知覚の認識」は、以下の4段階で評価します。

この項目で一番注意したいのは、「麻痺や感覚障害があるからといって、すぐに1点や2点と決めつけないこと」です。
例えば、脳梗塞で片麻痺がある患者さんがいるとします。
この方が、反対側の健側で痛みを感じてナースコールや言葉で不快感を訴えられるのであれば、評価は「4点(障害なし)」や「3点(軽度制限)」になります。
病名や麻痺の有無だけで判断してはいけません。
「身体の痛みを認識できており、それを周囲に表せているか?」という視点で、患者さんの残された機能を正しく観察することが大切です。
2.湿潤
汗・尿・便・浸出液などによって皮膚が濡れ続けると、ダメージに弱い皮膚になってしまいます。
その理由は以下の3つです。
- 皮膚のバリア機能が落ちる
- シーツに張り付いて摩擦・ズレが強く働く
- 排泄物の科学的刺激で炎症が起きる
皮膚がふやけると少しの擦れでも簡単に剥がれ、シーツに吸着することで寝返り時の負担が何倍にも増してしまいます。
そこへ排泄物の刺激が加わって皮膚炎を起こすため、一気に褥瘡のリスクが高まるのです。
「湿潤」を評価する基準
「湿潤」は、以下の4段階で評価します。

一番注意したいのは、「汗」による湿潤の見落としです。
おむつを使っていない患者さんでも、高熱や麻痺・拘縮による熱のこもりで背中やお尻に大量の汗をかき、常に皮膚が湿っているケースはよくあります。
汚れがないからと安易に「4点」にしてはいけません。
「シーツの中に熱がこもって蒸れていないか?」という視点で、実際に背中やお尻に触れて確認することが大切です。
3.活動性
「離床できるかどうか」を見る項目です。
ベッド上での生活が中心になると、自力で圧迫を逃がすチャンスが失われ、仙骨部などに体重がかかり続けます。
また身体を動かさないことで全身の血流も悪くなり、皮膚に栄養が届きにくくなります。
「活動性」を評価する基準
「活動性」は、以下の4段階で評価します。

一番注意したいのは、「本人の意思や能力」ではなく「その日の治療や安静度」で判断することです。
普段は元気に歩ける患者さんでも、手術直後や点滴の治療中で、医師から「今日はベッド上安静」と指示が出ているのであれば、評価は「1点」になります。
「歩ける力があるから」と高く評価してはいけません。
「評価時点で、患者さんが実際に動くことを許されている範囲(安静度指示)はどこまでか?」という視点で、評価することが大切です。
4.可動性
活動性と混同しやすいですが、こちらは「ベッドの上で動けるか」を見ます。
自力で寝返りができないと、骨が出っ張った部分に圧迫が集中し、それをリセットする手段もないため、虚血が何時間も持続してしまいます。
「可動性」を評価する基準
「可動性」は、以下の4段階で評価します。

一番注意したいのは、日中の動きだけで判断しないことです。
健康な人は睡眠中も無意識に寝返りを打ちますが、麻痺や薬の影響がある患者さんは「夜間は全く動けず朝まで同じ姿勢のまま」というケースがよくあります。
「睡眠中も含めて24時間、本当に自力で圧迫を逃がせているか?」という視点で、夜間の看護記録も必ず確認して評価しましょう。
5.栄養状態
体に必要な栄養が足りなくなると、皮膚の耐久性がガタガタになり、褥瘡のリスクが一気に高まります。
その理由は以下の3つです。
- 皮下脂肪や筋肉が減る
- 皮膚のバリア機能が落ちて脆くなる
- 傷を修復する材料が足りなくなる
このように低栄養になると、骨がダイレクトに圧迫されるうえ、新陳代謝が落ちて皮膚そのものが薄く剥がれやすくなります。
さらに、傷を治すエネルギーもないため、小さな傷でもあっという間に悪化してしまうのです。
「栄養状態」を評価する基準
「栄養状態」は、以下の4段階で評価します。

この項目は、シンプルに出された食事を何割食べたかだけで機械的に評価してOKです。
「点滴をしている場合は?」「胃瘻(いろう)の人は?」と迷うかもしれませんが、チューブからの栄養であっても、予定量がしっかり入っていれば「3点(良好)」になります。
あれこれ深く考えすぎず、「口からでもチューブからでも、体に必要な量がどれくらい入ったか」という事実だけをそのまま点数に当てはめましょう。
6.摩擦とズレ
ベッドのギャッチアップをするとき、骨は重力によって下へと滑ろうとする一方、皮膚の表面はシーツとの摩擦でその場に留まろうとします。
このとき、皮膚の表面と奥の骨が逆方向に引っ張られることで、その板挟みになった組織の奥にある細い血管が引き伸ばされて潰れてしまいます。
これが「ズレる力」の恐ろしさです。
単なる「圧迫」だけよりも、この「圧迫+ズレ」が加わるほうが、はるかに少ない力で簡単に血流が止まってしまうことが分かっています。
そのため、広範囲にわたる深刻な組織の壊死につながりやすいのです。
「摩擦・ズレ」を評価する基準
「摩擦・ズレ」は、他の項目とは異なり、以下の3段階で評価します。

この項目で点数が低くなりやすいのは、主に「自分で姿勢を保てない人」です。
具体的には、脳梗塞の麻痺や筋力低下があり、ベッドの背を上げるとズルズルと足元へ滑り落ちてしまう患者さんが該当します。
また、位置を直すときに、看護師がベッド上で身体を「引きずって」動かしている場合も同様です。
ベッド上で体が下に滑っていないかを見るだけで、簡単に判断できます。
ブレーデンスケールの褥瘡ハイリスクは何点から?
ここまでの内容を一覧にすると、このようになります。

点数を出したら、褥瘡のハイリスク状態にあるのか確認しましょう!
『褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)』には、褥瘡発生の危険ライン(カットオフ値)は14点〜20点と幅があると書かれています。
なぜなら、患者さんが過ごしている環境によって、適切な基準が変わるからです。
日本の医療や介護の現場では、一般的に以下のような基準で「ハイリスク」が使い分けられています。
- 病院:14点以下がハイリスク
- 介護施設や在宅:17点以下がハイリスク
このように環境によって危険ラインに幅はありますが、どちらも「しっかりとした根拠があり、褥瘡予防に一定の効果がある」と認められているものです。
だからこそ、実際の臨床でも広く、積極的に使われています。
事例を元にブレーデンスケールを使って評価してみよう!
次の事例で一緒に考えてみましょう!

評価はどうなったか?
皆さんどうでしょうか。
ブレーデンスケールの基準に当てはめてみましょう!

すると、合計は11点となりました。
もしAさんが病院に入院しているのであれば、病院の危険ライン(14点以下)を下回っているため「ハイリスク状態」です。
さらに、複数のリスクが重なっていることが分かります。
実習では「おむつ交換のタイミング」や「ベッド上でのポジショニング」、「食事の工夫」などが必要だなと具体的な予防ケアに繋げていきましょう!
ブレーデンスケールに関するよくある質問|Q&A
看護師国家試験を受験する看護学生からいただく質問をまとめました。
同じような悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
- Qブレーデンスケールの6項目すべて暗記しなければいけませんか?
- A
国試では何も見ずに評価項目を答える必要があります。ただ、大切なのは丸暗記ではなく「なぜこの項目なのか」という根拠の理解です。褥瘡は「圧迫」と「皮膚の脆弱性」で発生します。この原因に直結する6項目をメカニズムとセットで押さえておきましょう!
- QブレーデンスケールとOHスケールの違いは?
- A
どちらも予防のためのツールですが、評価の視点が異なります。ブレーデンスケールは、全身状態を6項目で総合的に予測する世界標準の指標。OHスケールは「骨突出」や「寝たきり度」に焦点を当て、4項目で短時間にリスクを見つける日本生まれの指標です。
- QブレーデンスケールとDESIGN-R®の違いは?
- A
「使うタイミング」が全く異なります。ブレーデンスケールは褥瘡ができる前に、リスクを予測して予防するために使う指標です。一方、DESIGN-R®は褥瘡ができたあとに、傷の深さや広さを数値化して、重症度や治り具合を評価・記録するために使う指標です。
ブレーデンスケールに関する看護国試の過去問にチャレンジ!
ここまで学んだ知識があれば、実際の国家試験の問題も一発で解けるはず!
ぜひ力試しにチャレンジしてみてください。
Braden〈ブレーデン〉スケールの評価項目で正しいのはどれか。
1. 湿 潤
2. 循 環
3. 体 圧
4. 年 齢
- 湿 潤
湿潤はブレーデンスケールの重要な評価項目の一つです。 循 環
循環は褥瘡の発生に影響しますが、ブレーデンスケールの評価項目には含まれていません。体 圧
体圧は、ブレーデンスケールの評価項目に含まれていません。年 齢
年齢は、ブレーデンスケールの評価項目に含まれていません。
ブレーデンスケールで評価するのはどれか。
1. 褥瘡の深さ
2. 褥瘡の広がり
3. 褥瘡の好発部位
4. 褥瘡発生の危険性
褥瘡の深さ
褥瘡の深さは、ブレーデンスケールではなくDESIGN-R®を使います。褥瘡の広がり
褥瘡の広がりは、ブレーデンスケールではなくDESIGN-R®を使います。褥瘡の好発部位
ブレーデンスケールは、褥瘡の好発部位を調べるためのスケールではありません。- 褥瘡発生の危険性
ブレーデンスケールは、褥瘡のリスクがどれくらいあるかを予測して予防するたの指標です。
ブレーデンスケールのまとめ
この記事では、ブレーデンスケールが「褥瘡ができる前の危険性を予測する指標」であるという基本を押さえました。
国試でも問われる通り、丸暗記ではなく「圧迫」と「皮膚の脆弱性」という発生メカニズムと結びつけて6項目を押さえることが大切です。
また、最新のガイドライン(第5版)ではハイリスクの基準に14〜20点と幅を持たせており(推奨度B)、病院や在宅などケア環境に応じて使い分ける根拠があります。
ただ点数を出すだけでなく、事例のAさんのように「どこにリスクがあるか」を捉え、実際の予防ケアに繋げていきましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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