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【看護師国試】エリクソンの発達理論とは?8つの過程を徹底解説

国家試験対策
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エリクソンが提唱した発達理論とは?

発達心理学者で精神分析科のE.H.エリクソン(Erik Homburger Erikson)が発表した心理社会的発達理論は、現代にも影響を与えている理論です。

この理論でエリクソンが考案した「アイデンティティ自己同一性」という概念は、今でもよく使われますよね。

心理社会的発達理論は、人間の生涯を8つの段階に分け、その段階ごとに課題と危機、達成により獲得する要素などで分類したものです。

ここからは、8つの課題を一つずつ確認していきましょう。

エリクソンの発達理論① 乳児期

  • 心理社会的課題:基本的信頼vs不信
  • 得られる要素:希望

乳児期は、赤ちゃんが母親や父親などの大人が自分のニーズをどの程度満たしてくれるかを学ぶ重要な時期です。

愛着スタイルの形成が始まり、安心感と愛情に触れることで、赤ちゃんは周囲との信頼関係を築きます。愛情を受け取ることで、希望や安全な世界への期待が芽生えます。

しかし、愛情不足や虐待などで愛情を受け取れないと、不信感が生まれ、世界は予測不可能で危険な場所として認識されてしまいます。

この時期の愛情や安心は、赤ちゃんの将来の発達や健康に大きな影響を与えるのです。

コラム

今からおよそ800年前のローマ皇帝「フリードリッヒ2世」が行った実験があります。

フリードリッヒ2世は「言葉を一切教わらなかった赤ちゃんは、どんな言葉を話すようになるのか?」と疑問を持ち、50人の赤ちゃんを集め、下記条件で実験を開始しました。

  • 赤ちゃんの目を見てはいけない
  • 赤ちゃんに笑いかけてはいけない
  • 赤ちゃんに話しかけてはいけない

ミルクやお風呂、排泄の処理など生きるために必要な世話はしっかりとするが、スキンシップは一切してはいけないというものでした。

結果は、1歳までに全員が死亡したそうです。(諸説あり)

とても残酷な実験ですが、「言葉とスキンシップによる愛情」が重要だと分かりますよね。

エリクソンの発達理論② 幼児前期

  • 心理社会的課題:自立性vs恥・羞恥心
  • 得られる要素:意思

幼児期前期の発達課題は、着替えやトイレなどを自主的に行い、自立性を身に着けていくことです。排泄機能や運動能力が自分でコントロールできるようになり、世界が広がっていきます。

この時期になると危険なものや場所を探索する可能性があるため、親は安心・安全な基盤を提供することが必要です。

多くの問題に直面し、自分で解決できるという感覚を身に着けることで、「意思」を獲得することができます。

ただし、親が子供よりもはやく行動してしまったり、子供のできる仕事を奪ったり、嘲笑したりすると自立しようとする試みがなくなります。

それにより、子供は恥を感じ、自分の問題を解決する能力について疑問を抱くようになります。

エリクソンの発達理論③ 幼児後期

  • 心理社会的課題:積極性vs罪悪感
  • 得られる要素:目的意識

この時期の子供たちは、計画を立て、それを実行し、目標を達成する方法を学びます。彼らは自分の行動に責任を持ち、率先して行動し、リーダーシップの役割を果たすことを学びます。

目的意識が芽生えるので「なぜ?どうして?」と質問したり、ごっこ遊びに夢中になります。

親や幼稚園の先生など周りの大人が奨励・支援をすると、子供たちは自主性を発揮し、目的意識を身に着けていきます。

しかし、親がめんどくさそうな態度や過度なしつけをすると、子どもは自分のニーズや欲求に対して罪悪感を抱くようになります。

エリクソンの発達理論④ 学童期

  • 心理社会的課題:勤勉性vs劣等感
  • 得られる要素:有能感

学童期の子供は、自分自身を個人としてより意識するようになります。自分の特別な才能を認識しはじめ、教育が向上するにつれて興味を発見していきます。

運動の能力があると認識した子はスポーツに積極的に参加する、音楽が好きな子はピアノ教室に参加するなど得意や興味を追求するための活動を選択します。

自分の取り組みや成果に対して周囲の大人から正しいフィードバックを受けると勤勉さが促され、有能感を身に着けていきます。

しかし、努力が評価されない場合、自尊心の低下や無気力・劣等感が生じる可能性があります。

エリクソンの発達理論⑤ 青年期

  • 心理社会的課題:自我同一性vs同一性の拡散
  • 得られる要素:忠誠心


青年期は、自分自身のアイデンティティについて考える時期です。将来の役割や職業について、自分が何を望んでいるのか、自分らしさとは何かを模索し始めます。

自分のアイデンティティを確立すると「私はこういう人間だ!」と自己を認識し、その価値観に応えるために忠誠心を育んでいきます。

しかし、アイデンティティを見つけられないと、「私は何のために生まれてきたのか」という疑問に苦しむことになり、アイデンティティの混乱から脱することができません。

エリクソンは、アイデンティティの達成は、自己の価値観と社会の期待との調和を見つけることで生まれると説いています。

したがって、コミュニティに参加し、役割を果たし、社会に貢献することで、アイデンティティを確立する手助けをしていけます。

エリクソンの発達理論⑥ 成人期

  • 心理社会的課題:親密性vs孤立
  • 得られる要素:愛

成人期は、生まれた家庭や学校、地域などから離れ、新たな人々との関係を築く時期を迎えます。

アイデンティティの確立は終わりに近づいていますが、基盤は整っていません。周囲のアイデンティティを組み合わせながら最終調整をしていきます。

そのため、友人や社会、恋愛などで信頼できる人々とのつながりを深めていこうとします。そして、他社との愛を獲得していきます。

しかし、人との関わりを避けたり、長期的な人間関係を築くことを怠ったりすると、孤立感が生じます。暗闇や不安の感情から抜け出すのが難しくなります。

エリクソンの発達理論⑦ 壮年期

  • 心理社会的課題:生殖vs自己吸収
  • 得られる要素:世話

壮年期は、子育てや後輩の育成など、後の世代に貢献する活動に取り組んでいきます。

多くの人が、自らの時間やエネルギーを次世代に注ぐことで生きがいを見出しています。

そのため、次世代を見据え、彼らを支援し育てることで、私たちは経験に基づいた指導やアドバイスを通じて、世話という力を手に入れることができます。

一方で、世の中への無関心や自己中心的な生き方を「停滞」と言います。何も後世に残せないと感じると、老年期に不安や後悔を抱くかもしれません。

エリクソンの発達理論⑧ 老年期

  • 心理社会的課題:自己統合vs絶望
  • 得られる要素:英知

多くの人が定年を迎え、老後の生活を模索しています。寿命の限界を感じながら、これまでの人生を振り返る人もいます。

過去の試練を乗り越え、得た力に満足しているか、死後に残すものについても考える時期です。

肯定的に答えることができれば、「賢さ」を獲得します。自己統合が絶望感を克服し、知恵を次の世代に受け継ぎ、充実した老後を迎えることができます。

しかし、後悔や不満を抱えている場合は、各段階に対する不満が強まります。

それにより、人々は人生をやり直したいと思ったり、老いに対する不安や絶望を感じることがあります。その結果、精神的な苦悩が生じ、穏やかな老後を送ることが難しくなります。

エリクソンの発達理論まとめ

エリクソンの発達理論は、人生を8つの段階に分け、各段階ごとに心理社会的な課題とそれに伴う要素を提示しています。

基本的な信頼から始まり、自己同一性の確立、親密さと孤立の対立、そして老年期の自己統合まで、人生の旅路を示唆しています。

この理論を通じて、私たちは生涯にわたる発達の過程やその影響を理解し、自己と向き合い、次の世代への貢献や充実した老後を模索することができます。

これら内容はすべて看護師国家試験で問われる内容なので、しっかりと覚えておきましょう。

それでは次の確認問題を解いてみてください!

【看護師国試】エリクソンの発達理論に関する過去問

第109回 午後6問

1. 生殖性 対 停 滞
成人期に生じる。

2. 勤勉性 対 劣等感
学童期に生じる。

3. 自主性 対 罪悪感
遊戯(幼児)期である。

4. 同一性 対 同一性混乱
青年期である。

第108回 午後8問

1. 親密
前成人期の心理・社会的発達段階である。

2. 同一性
青年期の心理・社会的発達段階である。

3. 自主性
遊戯期の心理・社会的発達段階である。

4. 基本的信頼
乳児期の心理・社会的発達段階である。

第112回 午後8問

1. 親密 対 孤立
前成人期の課題である。

2. 自律性 対 恥・疑惑
幼児初期の課題である。

3. 勤勉性 対 劣等感
学童期の課題である。

4. 自我同一性〈アイデンティティ〉の確立 対 自我同一性〈アイデンティティ〉の拡散
青年期の課題である。

第99回 午後64問

1. 「勤勉性」対「劣等感」
学童期の特徴である。

2. 「自律性」対「恥・疑惑」
幼児前期の特徴である。

3. 「基本的信頼感」対「不信感」
乳児期の特徴である。

4. 「自我同一性の確立」対「自我同一性の拡散」
思春期の特徴である。

第103回追試 午前56問

1. 生殖性の確立
成人期の課題である。

2. 親密性の確立
成人前期の課題である。

3. 統合性の確立
老年期の発達課題である。

4. 自我同一性の確立
青年期(思春期)の課題である。

第98回 午後69問

1. 基本的信頼
乳児期の発達課題である。

2. 自律性
幼児前期の発達課題であるため、正しい。

3. 勤勉性
学童期の発達課題である。

4. 親密性
成人初期の発達課題である。

第107回 午前47問

1. ペック,R. C.
ペックは老年期を①引退の危機自我の分化②身体的健康の危機身体の超越③死の危機自我の超越の3つに分けた。

2. バトラー,R. N.
バトラーは年齢差別を意味する「エイジズム」を提唱した医師である。

3. エリクソン, E. H.
エリクソンは人間の発達段階を8段階に分け、老年期の発達課題を「統合」対「絶望」としている。

4. ハヴィガースト, R. J.
ハヴィガーストは老年期の発達課題を6項目に分類し、各段階の発達課題を提唱した。

全問正解できましたか。間違えた場所はしっかり復習しておきましょうね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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