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【看護師国試】ハヴィガーストの発達課題を詳しく解説

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教育学者のハヴィガーストが提唱した発達課題

教育心理学者のR.J.ハヴィガースト(Robert James Havighurst)は、「発達課題」を最初に提唱した人物です。

ハヴィガーストは次のように述べています。

発達課題は、個人の生涯にめぐりくるいろいろの時期に生ずるもので、その課題をりっぱに成熟すれば個人は幸福になり、その後の課題も成功するが、失敗すれば個人は不幸になり、社会で認められず、その後の課題の達成も困難になってくる。

R.J.ハヴィガースト著;沖原豊、荘司雅子監訳:「人間の発達課題と教育」,玉川大学出版,p122-167(1995)

ハヴィガーストの発達課題は、乳幼児期から老年期までを6段階に分類し、各段階で6~10個の課題を挙げています。

身体的成熟に関するもの」「社会・文化により規定されるもの」「自我や人格に関するもの」の3分野で構成され、これらには相互的作用があります。

成長を重ねても発達課題を乗り越えていく「連続性」が重視されており、生涯において次々にそれらを達成することが求められています。

「個人の生涯にめぐりくるいろいろな時期に生ずるもの」としており、発達課題の達成には個人の経験や生活・行動が関連しています。

ハヴィガーストの発達課題① 乳幼児期

乳幼児期は「誕生から6歳ごろまで」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 歩行を獲得する
  • 固形の食べ物を食べられる
  • 話せる
  • 排泄がコントロールできる
  • 性の違いと性的な慎みを学ぶ
  • 生理的安定の獲得
  • 社会や世の中の物事・事実についての単純な概念の形成ができる
  • 両親、兄弟、他人との人間関係を学ぶ
  • 善悪の区別をつけること、良心について学ぶ

身体的成熟に関する項目が目立ちます。誕生から6歳ごろまの成長速度は著しく、身体的・精神的・社会的な課題の土台になります。

ハヴィガーストの発達課題② 児童期

児童期は「6~12歳ごろまで」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 日常生活に必要な身体的技能を学習する
  • 自己に対する健全な態度を養成する
  • 友人をうまく付き合うことを学ぶ
  • 男子または女子をしての社会的役割を学ぶ
  • 読み・書き・計算の基礎的な技術の発達
  • 日常生活に必要な概念の発達
  • 両親・道徳性・価値観の尺度の発達
  • 自律的な人格を形成すること
  • 社会的な集団や制度に対する民主的な態度の発達

社会に出て必要な技能や自我に関する項目が目立ちます。この時期は、自分や他者の違いを尊重しながら仲間としてコミュニティを形成していく時期です。

ハヴィガーストの発達課題③ 青年期

青年期は「12~18歳ごろまで」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 男女の友人を洗練された新しい人間関係の構築する
  • 自分の身体構造を理解し、男性または女性としての役割を理解する
  • 良心や他の大人から情緒的独立の達成
  • 経済的独立の目安の確立
  • 職業の選択と準備
  • 結婚と家庭生活の準備
  • 市民として必要な知的技能を概念の発達
  • 社会人としての責任ある行動の達成
  • 自己の行動指針としての価値観や倫理体系の形成

自分の性と向き合う時期であり、かつ、社会へはばたく準備をする時期でもあります。

身体的・精神的・社会的な課題を総合的にクリアしていくことが求められます。

ハヴィガーストの発達課題④ 壮年期(成人前期)

壮年期(成人前期)は「18~30歳ごろまで」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 配偶者の選択
  • 結婚した相手との生活を学習する
  • 第一子を設けること
  • 子育てをすること
  • 家庭の管理をすること
  • 職業に就くこと
  • 自民的責任を負うこと
  • 自分に適した社会集団を選択すること

社会的な責任を全うするとともに、次の世代へ目を向ける時期です。

しかし、この時期の発達課題は時代とともに変化しているように思います。

なぜなら、結婚をしなくても幸せに暮らしている方や同性との親密な関係を築いてる方など、さまざまな価値観が生まれているため、必ずしも達成すべき課題とは思えないのです。

あくまでも参考として、考えておくのがよさそうですね。

ハヴィガーストの発達課題⑤ 中年期(成人中期)

中年期(成人中期)は「30~60歳ごろまで」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 独立した大人としての市民的社会的責任の達成
  • 経済的水準の確保と維持
  • 十代の子供の成長への援助
  • 余暇活動の充実
  • 自己と配偶者をひとりの人間として結びつけること
  • 中年期の生理的変化を理解し、適応すること
  • 老年期の両親への適応

身体的な老化や子供の成長、親との別れを経験する時期です。

さまざまな変化を経験する時期で、それらに適応していくことが求められます。

ハヴィガーストの発達課題⑥ 成熟期(老年期)

成熟期(老年期)は「60歳ごろ~」を指します。この時期の発達課題は、次の通りです。

  • 肉体的な強さと健康の衰退に適応すること
  • 引退と収入減少への適応
  • 配偶者、友人などの死への適応
  • 自己と同年代の高齢者と明るく親密な関係の確立
  • 肉体的生活を満足に送るための準備

自分の生涯に幕を下ろす準備を始める段階です。

周りの知っている人がどんどんいなくなり、孤独感や喪失感を感じやすい時期であり、同世代との関係や健康に留意していくことが重要です。

【看護師国試】ハヴィガーストの発達課題に関する問題

第102回 午前61問

1. 子どもを独立させる。
ハヴィガーストの発達課題によると、子どもを独立させるのは中年期である。

2. 満足できる収入を得る。
満足できる収入が得られるのは現役世代の成人期で、老年期は収入の減少に適応することが課題である。

3. 配偶者の死に適応する。
老年期は、配偶者や同世代の友人の死に遭遇し、その死別の状況に適応する必要がある。

4. 異世代の人と親密な関係を結ぶ。
異世代の人との交流より、自分と同世代の人々と親密な関係を結ぶことのほうが課題である。

第102回 午前61問

1. 成長に伴い発達課題は消失する。
成長段階ごとに果たすべき発達課題があり、次の段階に移行するには課題を適切に果たす必要がある。発達課題は成長に伴って消失するわけではない。

2. 各発達段階の発達課題は独立している。
各発達段階の発達課題は独立しておらず、次の段階に移行するには課題を適切に果たす必要がある。

3. 身体面の変化と発達課題は無関係である。
ハヴィガーストの発達課題は「身体的成熟に関するもの」「社会・文化により規定されるもの」「自我や人格に関するもの」の3分野で作られています。そのため、身体面の変化と発達課題は密接に関係しています。

4. 発達課題の達成は個人の生活と関連する。
上記、解説の通り、「自我や人格に関するもの」が含まれています。そのため、発達課題の達成は個人の経験や生活、行動と関連しています。

ハヴィガーストの発達課題まとめ

ハヴィガーストは、発達課題をはじめて提唱した教育心理学者です。

人間の生涯を6段階に分け、各段階における発達課題を「身体的成熟に関するもの」「社会・文化により規定されるもの」「自我や人格に関するもの」の3分野をもとに考えました。

現代に沿わない考え方があるものの、生涯を通して発達課題があることを発表したことは大きな功績として語り継がれています。

看護師国家試験で問われることは少ないですが、人間理解の手段として覚えておいても損はないでしょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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