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看護学生のための血圧講座:重要ポイントを解説

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血液が私たちの身体を支えている

私たちの身体は無数の細胞から構成されています。

それぞれの細胞は、ホルモンや酵素を合成したり、収縮したり、情報を伝えたり、体表を覆ったりといった役割を持っています。

これらの役割を果たすためには酸素やブドウ糖、その他の栄養素が必要です。また、細胞が活動すると、二酸化炭素や尿素窒素、尿酸などの代謝産物を排出します。

体内の細胞が必要な物質を得て、代謝産物を排出することができるのは、血液が循環しているからです。

心臓の働き:血液を全身に供給する

心臓の収縮で駆出される血液を1回拍出量といい、通常は70~90mlです。これに心拍数を掛けたものが毎分心拍出量です。

例えば心拍数が60回/分の場合、1分間に約4200mLの血液が心臓から拍出されます。

もしも、心臓の収縮力が低下して、1回拍出量が50mlに減ったらどうなるでしょうか?

50mL×60回=3000mLと、体はおおよそ3/4の活動量しか耐えられなくなります。

逆に、運動などで全身の筋肉が多くの酸素や栄養を必要とする場合、心臓は心拍数を増やすか、一回拍出量を増やすことで対応します。

このように、身体の細胞の要求に合わせて、血液を循環させるのが心臓の役割なのです。

心臓の虚血は致命的

血液の循環が保たれず、細胞の活動が障害される状態を虚血と言います。

血液が不足したり、血管が細くなったり、詰まったりすると虚血が生じます。

例えば心筋に虚血が起こると、その部分の心筋細胞が活動を停止し、酸素やブドウ糖が不足して細胞が働けなくなります。

心筋というのは一斉に収縮して、血液を全身に押し出す大きな力を生み出しているので、心筋の一部が収縮しないと大きな力が出せないのです。

したがって、心臓がしっかりと働いているかをアセスメントすることが重要です。

心臓のはたらきを知る指標

では、心臓の働きをアセスメントするために皆さんはどんな指標を使っていますか?

それは、血圧・脈拍(心拍)です。これらが心臓が血液を押し出す力、および押し出された血液の量を知るための指標です。

スワンガンツカテーテルを使えば、直接心拍出量を測定できます。しかし、血管の中に管を通す侵襲の大きい測定方法なので、手術時やICUやCCUなどでしか使われません。

そのため、普段行っている血圧測定や脈拍測定から循環動態をアセスメントします。

心臓の働きを知る指標である血圧とは?

今回は、血圧を詳しく見ていきましょう。

血管内の血液を示す圧力を「血圧(BP:Blood Pressure)」と言います。

血圧には動脈圧、静脈圧、毛細血管圧などが含まれますが、一般に血圧というと、動脈圧を意味しています。

血圧測定に一番よく用いられる部位は上腕動脈です。

心臓から拍出された血液は、大動脈から枝分かれをしていきますが、鎖骨下動脈から腋窩動脈を経て、上腕動脈になります。

その上腕動脈の壁にかかる圧力を、外側から図っているのが、一般的な血圧測定です。

血圧は血液が血管壁にあたる音を聴いて測定する

血圧を測るには、マンシェットに空気を入れて血流を一時的に止めます。その後、マンシェット内の空気を抜いて血流を再開させると音が発生します。

この音は血液が血管壁にあたる音で、コロトコフ音と言います。この音を聴診器で確認し、値を読み取ります。

血圧測定の時、マンシェットは上腕動脈に等しく圧がかかるように、また、空気袋の中心がきちんと動脈の上にくるように巻きましょう。

また、マンシェットの幅は上腕の2/3が適切です。細すぎると実際より高い値が出てしまいます。

成人と小児ではマンシェットの幅は異なりますし、成人でも大腿にマンシェットを巻いて膝窩動脈で測定する場合は、上腕動脈で測定するときよりも幅の広い、大腿の長さの2/3の幅のマンシェットが必要です。

さらに、衣類の上から測定すると締め付けが強くなり、実際の血圧よりも少しの圧を加えただけで血流が止まってしまうので、正確な値が読み取れなくなります。

血圧測定の時は、適切なマンシェットの幅や巻き方に注意しましょう。

収縮期血圧と拡張期血圧とは?

最初にコロトコフ音が聞こえたときの圧を最高血圧または収縮期血圧といい、コロトコフ音が聞こえなくなる時の圧を最低血圧または拡張期血圧と言います。

大動脈は直径が3~4cmもある太い血管で、内膜・中膜・外膜の3層から構成されています。中膜には弾性繊維があり、血管壁はゴムのような弾力性を持っています。

収縮期血圧は、心室からの血液が血管に送り出される際に血管壁にかかる圧力を示しています。

このとき、血管は引き延ばされ、血液で膨らんだ状態になります。血管壁の弾性繊維によって、血管は元の状態に戻りながら、血液を血管の中央へ押し戻します。

一方、拡張期血圧は、心室が拡張して心室内の圧力が低下し、血管壁にかかる圧力も減少します。

その際、大動脈の弾力性が働き、溜まっている血液を大動脈の弾力性で押し流すため、血流は保たれますが、血管壁にかかる圧力は小さくなります。

血圧を変動させる様々な因子

ここまでで、血圧は心臓が各細胞に行き渡るだけの血液を送りだしているかどうかを調べる指標ということが分かりましたね。

しかし、次のような要因が関係して血圧は変動します。

  • 大動脈壁の弾力性
  • 末梢血管抵抗(細動脈の収縮/弛緩)
  • 心筋の収縮力
  • 血液量
  • 血液の粘稠度

それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。

大動脈壁の弾力性

大動脈壁の弾力性は血圧の重要な決定要因の一つです。

通常、大動脈の壁はゴムのような弾力性を持ち、心臓が血液を押し出す際の圧力を緩和する役割を果たします。

しかし、動脈硬化が進行すると、この弾力性が失われ、血管壁が硬くなります。

硬くなった血管壁は、心臓が血液を送り出す際に大きな圧力を受けるため、血圧が上昇します。

動脈硬化は、コレステロールや脂肪の沈着により血管内腔が狭くなることで発生します。この状態が進行すると、心臓の負担が増し、最終的には高血圧や心疾患のリスクが高まります。

したがって、大動脈壁の弾力性を保つことは、健康な血圧を維持するために非常に重要です。

末梢血管抵抗(細動脈の収縮/弛緩)

血液は大動脈から細動脈を経て毛細血管へと流れます。

毛細血管に最も多くの血液が分布していますが、その前段階の細動脈の壁には平滑筋と弾性繊維が含まれています。

これらの平滑筋は自律神経によって調節されており、収縮や弛緩によって血流を制御します。

細動脈が収縮すると、毛細血管に流れる血液量が減り、その結果、動脈の血圧は上昇します。

一方、細動脈が弛緩しすぎると、毛細血管に過剰な血液が流れ、心臓に戻る血液が減少します。これにより、全身への酸素供給が不足し、酸素欠乏状態になることがあります。

このように、細動脈の収縮具合が血圧に大きな影響を与えるため、これを末梢血管抵抗と呼びます。

末梢血管抵抗の調節は、血圧管理の重要な要素です。

心筋の収縮力

心筋の収縮力も血圧に大きく関与します。

心筋の収縮力は、通常、心室内の血液量に比例します。これはスターリングの法則として知られ、心室に戻る血液量が多いほど、心筋の収縮力も増加するという原理です。

例えば、運動をすると全身の筋肉が多くの酸素を必要とし、心臓は心拍数を増やすと同時に、収縮力を強めて一回拍出量を増加させます。

逆に、心筋の収縮力が低下すると、心室から血液を十分に送り出すことができず、心臓に血液が滞る状態、すなわち心不全が発生します。

心不全は全身への血液供給が不十分となり、様々な臓器機能の低下を引き起こします。

心筋の健康を保つことは、全身の血液循環を正常に保つために極めて重要です。

血液量

血液量も血圧に影響を与えます。

心臓は閉鎖回路内の血液を循環させるポンプの役割を果たします。

この閉鎖回路内の血液量が多ければ多いほど、心臓にはそれを押し出すための大きな力が必要となり、結果として血圧が上昇します。

逆に、血液量が少なければ、心臓が血液を循環させるために必要な力は減少し、血圧も低くなります。

降圧薬の一つに利尿薬があり、これは尿の排泄を促進して血液量を減少させ、血圧を下げる効果があります。

このように、血液量の調整は血圧管理の一環として非常に重要です。

脱水や出血などで急激に血液量が減少する場合も、適切な対処が必要です。

血液の粘稠度

血圧には、血液の粘稠度も大きく関係します。

粘稠度とは、血液の流れやすさを示す指標で、粘稠度が高いほど血液は流れにくくなります。

ネバネバした溶液とサラサラした溶液をかき混ぜる時に必要な力が異なるのと同じように、粘稠度の高い血液を循環させるためには、心臓はより大きな圧力を生み出す必要があります。

血液の粘稠度は、赤血球や血漿タンパクの濃度によって影響を受けます。

例えば、脱水状態になると血液の粘稠度が増し、血圧が上昇することがあります。逆に、適度な水分摂取は血液の粘稠度を下げ、血圧の安定に寄与します。

このため、血液の粘稠度を適切に保つことも重要です。

血圧測定の目的は?

このように血圧測定は、血管、心臓、血液の状態を評価し、細胞への血液供給を確認するために行います。

血圧が低くなると、細胞への酸素や栄養の供給が不十分になり、細胞死を引き起こし、最悪の場合、個体の死に至ります。

例えば、心筋梗塞や心不全で心臓が血液を送り出す力が失われると、血圧が急降下します。また、大量出血やショックにより全身の血液分布が不適切になる場合も、血圧が低下します。

一方で、血液量が過剰であったり、末梢血管抵抗が増加したり、動脈硬化によって血管の弾性が失われて内腔が狭くなったりすると、血圧は上昇します。

これにより、心臓や血管に過度の負担がかかり、様々な健康リスクが生じます。

血圧測定は、体内の血管、血液、心臓の状態を外から把握する手段であり、細胞への血液供給が適切であるかどうかを評価するために不可欠です。

定期的に測定し、その変動を監視することで、健康維持や病気の早期発に役立ちます。

血圧測定の重要性のまとめ

血圧とは、血液が血管壁にかかる圧力で、動脈圧、静脈圧、毛細血管圧が含まれますが、一般に血圧といえば動脈圧を指します。

血圧測定は、心臓が血液を送り出す力やその量を知るための指標であり、健康状態を把握する上で重要です。

血圧はさまざまな要因によって変動します。大動脈壁の弾力性、末梢血管抵抗(細動脈の収縮/弛緩)、心筋の収縮力、血液量、血液の粘稠度が主要な要因です。

血圧測定は、これらの要因を外から把握し、細胞への血液供給が適切であるかどうかを評価するための重要な手段です。

看護師国家試験だけでなく、臨床現場でも重要な知識です。この基本を理解し、適切に実践することが看護の質を向上させていきましょう!

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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