地域生活支援事業とは?
障害のある方が、自立した日常生活や社会生活を送れるようにするための取り組みです。
地域生活支援事業は、もう一つの制度である「自立支援給付」と組み合わせて使われます。
どちらの事業も、障害のある方が地域の一員として安心して暮らし続けるための基盤を作っています。
地域生活支援事業で行われているサービス一覧
地域生活支援事業には、「必須事業」と「任意事業」があります。

これ全部覚えなきゃいけないの?
いいえ。全部覚える必要はありません。
過去に出題されているのは、必須事業にある「成年後見制度利用支援事業」だけです。
とはいえ、どれも障害者福祉の現場を支える大切なサービスです。
今後、在宅支援や障害福祉に関わる方は、必須事業をしっかりと覚えておくことをおすすめします。
地域生活支援事業の必須事業
地域生活支援事業の必須事業について、順番に解説します。
余裕がない人は「成年後見制度利用支援事業とは?」だけ読めば大丈夫です。
理解促進研修・啓発事業とは?
理解促進研修・啓発事業は、障害のある方が日常や社会の中で直面する「社会的障壁」を取り除くことを目的とした事業です。
そのために、地域住民に向けて研修や啓発活動を行い、障害への理解を深め、社会的な理解と配慮を広げていく取り組みです。
- 小学校や公民館で障害当事者の講話や、車椅子・点字・アイマスク体験、手話の実技などを行う講座
- 近隣市町と連携し、地域の障害福祉事業所を見学する合同ツアー
- 障害のある方と地域住民とのふれあいを通じて、相互理解を深める交流イベント
- 商業施設などで障害福祉事業所の利用者がリーフレットを配布し、理解を広める啓発活動
- 障害差別の解消やヘルプマーク・ヘルプカードの周知を目的とした啓発・配布の実施など
教室の開催や事業所訪問、イベント、広報活動など、さまざまな方法で障がいのある方への理解を深める取り組みが行われています。
これらの活動を通して、誰もが暮らしやすい共生社会の実現を目指しています。
自発的活動支援事業とは?
自発的活動支援事業は、障がいのある方が自立した日常生活や社会生活を送ることができるよう、障害者本人・家族・地域住民による自主的な活動を支援する事業です。
- 障害のある当事者同士が悩みを共有し、情報交換を通じて支え合うピアサポート活動
- 障害のある方が地域の一員として参加する防災訓練や支援体制づくりなどの防災活動支援
- 障害のある方の孤立を防ぎ、安心して暮らせるようにする居場所づくりや交流活動の支援
- 障害のある方が地域や社会に声を届け、制度や意識の変化を促す働きかけの支援
- 地域の担い手を育てるための、ボランティアの養成や活動の場づくり、学習機会の支援
- 障害への理解と配慮を広め、共生社会の実現を目指す啓発・教育活動の支援
これらの取り組みを通じて、自発的な支援の輪を広げ、障害のある方・ない方が互いに理解し合いながら暮らせる「心のバリアフリー」による共生社会の実現を目指しています。
相談支援事業とは?
相談支援事業は、障害のある方やその家族の相談に応じ、情報提供や支援を通じて自立した生活を支える取り組みです。
- 基幹相談支援センター等機能強化事業
- 住宅入居等支援事業
基幹相談支援センター等機能強化事業では、市町村での相談支援が円滑に行われるよう専門職を配置し、地域全体の相談支援体制を強化します。
- 主任相談支援専門員などの専門職を配置
- 相談支援事業者への訪問・指導・助言
- 研修や事例検討会を通じた人材育成
- 各種相談機関との連携体制の構築
- 学校や企業との連携、情報提供・助言
住宅入居等支援事業では、保証人がいないなどの理由で賃貸住宅への入居が難しい障害者に対して、入居に必要な調整や支援を行います。
成年後見制度利用支援事業とは?
知的障害や精神障害のある方が、障害福祉サービスを適切に利用できるように「成年後見制度」の利用を支援する事業です。
成年後見制度の利用にかかる、次のような費用の全部または一部を補助します。
- 成年後見制度の申立てに必要な費用(登記手数料・鑑定費用など)
- 後見人等への報酬
障害福祉サービスを利用中または利用予定であり、補助がなければ成年後見制度の利用が困難と認められる方が対象です。
意思疎通支援事業とは?
聴覚・言語・音声・視覚障害、盲ろう、失語、知的・発達障害、高次脳機能障害、重度身体障害、難病などにより、意思の伝達が困難な方がいます。
そうした方に対し、手話通訳や要約筆記などの手段を用いて、他者との円滑なコミュニケーションを支援することを目的としています。
- 手話通訳者・要約筆記者の派遣
- 手話通訳者の設置
- 点訳、代筆、代読、音声訳などによる支援
このような取り組みを通じて、意思疎通に支援が必要な方と周囲の人とのコミュニケーションをサポートします。
日常生活用具給付等事業とは?
障害のある方の日常生活をより快適にするため、自立生活支援用具など特定の用具を給付または貸与する事業です。
給付・貸与される用具は、次の6種類の用具に限定されています。
- 特殊寝台・特殊マットなどの介護・訓練支援用具
- 入浴補助用具、聴覚障害者用信号装置などの自立生活支援用具
- 電動たん吸引器、盲人用体温計などの在宅療養等支援用具
- 点字器、人工喉頭などの情報・意思疎通支援用具
- ストーマ装具などの排泄管理支援用具
- 生活動作を円滑にする居宅生活動作補助用具
これらの自立生活支援用具によって、生活の利便性が向上し、福祉の増進を図ります。
移動支援事業とは?
屋外での移動が困難な障害者等に対し、外出支援を行うことで、地域での自立生活や社会参加を促進します。
- 個別支援型(個別に支援が必要な方へマンツーマンで対応)
- グループ支援型(複数の障害者を同時に支援)
- 車両移送型(福祉バスなどの車両による巡回送迎を行い、公共施設や駅、福祉センターなど障がい者等の利便を考慮した経路で対応)
これらの移動支援により、日常の必要な外出や余暇活動などの社会参加をサポートします。
地域活動支援センター事業とは?
障害者に創作や生産活動の機会を提供し、社会との交流を促進する地域活動支援センターがあります。
- Ⅰ型:精神保健福祉士などの専門職員を配置し、医療・福祉や地域社会との連携強化、地域住民ボランティアの育成、障がい理解促進のための普及啓発活動を行う
- Ⅱ型:地域での雇用や就労が難しい在宅障がい者に対し、機能訓練、社会適応訓練、入浴サービスなどを提供する
- Ⅲ型:地域の障がい者団体等が通所による援護事業を安定的に5年以上実施している実績がある地域活動支援センターが該当
このセンターの機能を強化し、地域生活支援の促進を目指します。
任意事業
任意事業は、地域の実情に応じて、市町村が独自の発想や工夫で実施する事業です。
制度の趣旨に合っていれば、多様な取り組みが可能とされています。
市町村ごとに内容が異なるため、看護師国家試験では出題されていません。
日常生活支援
障害のある方が、安心・安全に日常生活を送れるよう支援する事業です。
以下のようなサービスが行われています。
- 福祉ホームの運営
- 訪問入浴サービス
- 生活訓練等
- 日中一時支援
- 地域移行のための安心生活支援
- 巡回支援専門員整備
- 相談支援事業所等における退院支援体制確保
- 協議会における地域資源の開発・利用促進等の支援
- 児童発達支援センターの機能強化
- 地域生活定着支援センターとの連携強化事業
一人ひとりの状況に応じた、きめ細かな支援が可能となります。
社会参加支援
障害のある方が地域や社会とつながることを目的とした支援です。
引きこもりの防止や、居場所づくりにもつながります。
以下のようなサービスが行われています。
- レクリエーション活動等支援
- 芸術文化活動振興
- 点字・声の広報等発行
- 奉仕員養成研修
- 複数市町村による意思疎通支援の協働実施促進
- 家庭・教育・福祉連携推進事業
就業・就労支援
障害のある方の「働きたい」という思いを応援し、自立を支えるための支援です。
以下のようなサービスが行われています。
- 盲人ホームの運営
- 知的障害者職親委託
地域生活支援事業に関する看護師国家試験問題を解こう!
地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で推進するのはどれか。2つ選べ。
1. こども家庭センター
2. 地域包括ケアシステム
3. 子どもの医療費の助成
4. 地域生活支援事業
5. 地域医療構想
答え:2・5
1. こども家庭センター
医療介護総合確保法で推進されていない。こども家庭センターは児童福祉法の事業である。
2. 地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムの構築を推進するものである。医療介護総合確保推進法で推進されている。
3. 子どもの医療費の助成
医療介護総合確保法で子供の医療費の助成は推進されていない。
4. 地域生活支援事業
医療介護総合確保法で地域生活支援事業は推進されていない。障害者総合支援法で行われている事業である。
5. 地域医療構想
医療提供体制を見直し、地域医療構想を推進するものである。医療介護総合確保推進法で推進されている。
成年後見制度で正しいのはどれか。
1. 地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。
2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。
3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。
4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである
答え:1
1. 地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。
成年後見制度は、障害者総合支援法の地域生活支援事業の1つとして「成年後見制度利用支援事業」がある。
2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。
後見の対象者は、自分で判断できない方が対象です。
3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。
審判の申し立て先は家庭裁判所です。
4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。
法定後見制度とは、将来の判断能力の低下に備えるものではなく、現在の障害や認知症のレベルに応じて決めます。

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