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看護師国家試験の模試復習が「わかったつもり」で終わる理由と対策

「模試の復習をちゃんとしたはずなのに、また似たような問題を間違えた…」

解説を読んだときは、確かに納得できたはず。

それなのに、次の模試でも似たような問題を落としてしまう。

そんな経験を繰り返していると、「自分はダメなのかもしれない」と感じてしまいますよね。

真面目に復習しているはずなのに、なぜ結果につながらないのか。

この疑問を、根性や才能の話にしてしまうのは、少しもったいないことです。

この記事では、「わかったつもり」が生まれる仕組みを整理していきます。

読み終える頃には、本当の理解につながる復習の仕方が見えてくるはずです。

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なぜ模試を復習しても、また同じ間違いをしてしまうのか?

まずは、この「わかったつもり」がどのように生まれるのか、その入り口を見ていきましょう。

心当たりのある方も多いはずです。

「解答を見て納得した」で終わっていないか

模試の復習でよくあるのは、間違えた問題の解答を読むだけで満足してしまうこと。

「なるほど、そういうことか」と納得して次に進むパターンです。

一見きちんと復習できているように感じますが、実はここに落とし穴があります。

「解答を読んで納得すること」と「その内容を自分の力で思い出せること」は、まったく別の力だからです。

例えば、解説を読んでいるときは「うんうん、わかる」とスムーズに頭に入ってきます。

ところが、いざ何も見ずに同じ問題を解こうとすると、答えが出てこない。

こうした経験がある方は、すでに「わかったつもり」の入り口に立っていると言えます。

「わかったつもり」という状態の正体

心理学では、本当は理解できていないのに、理解できたと錯覚してしまう状態を指す言葉があります。

これは「わかったつもり」や「錯知」と呼ばれています。

視覚のだまし絵を「錯視」と呼ぶように、頭の中で起きる思い込みの誤りを指す言葉です。

一度この状態に入ると、自分では気づきにくいというのが厄介な点です。

実際に、次の文章を読んでみてください。

矛盾しているところはないか、注意しながら読んでみましょう。

新人看護師のAさんは、これまで一度も採血の経験がありませんでした。 ある日、先輩が急用で外せなくなり、Aさんが一人で採血を担当することになりました。 Aさんは緊張しながらも、落ち着いた手つきで手早く採血を終わらせました。 先輩は、いつもの手際の良さはさすがだと、Aさんをほめました。

すらすらと読めて、特に違和感なく読み終えた方も多いのではないでしょうか。

しかし、よく見ると、この文章には矛盾があります。

「一度も採血の経験がない」はずなのに、「いつもの手際の良さ」とほめられているのです。

こうした文章の矛盾は、心理学の実験でも同じように確認されています。

ある文章を読んでもらい、内容に矛盾がないかを確認してもらう実験では、多くの人が一通り読んだだけでは矛盾に気づけませんでした。

指摘されて初めて「言われてみれば確かにおかしい」と気づく人がほとんどだったのです。

これは、私たちが自分で思っているよりも、文章を「深く」読めていないことを示しています。

模試の解き直しで「わかったつもり」が生まれる仕組み

ここからは、なぜこの錯覚が起きるのか、具体例と一緒にもう少し詳しく見ていきます。

仕組みがわかると、対策も立てやすくなります。

スラスラ感・見覚え感の錯覚

「わかったつもり」を引き起こす大きな原因の一つが、「スラスラ感・見覚え感」と呼ばれるものです。

例えば、模試の選択肢の中に、直前に参考書で見た言葉があったとします。

このとき、「見覚えがあるから、これが正解だろう」と考えて選んでしまうことがあります。

しかし、見覚えがあるのは、たまたま目にしたことがあるからで、それが正解である保証にはなりません。

同じように、過去問を2周目・3周目と解いていると、答えを覚えているために「スラスラ解ける」感覚が生まれます。

このスラスラ感は、理解できている証拠ではなく、単に見慣れただけの可能性があるのです。

この錯覚は、勉強以外の場面でも起きることがわかっています。

例えば、書いたばかりの文章を読み返すと、驚くほどスラスラ読めて、よく書けているように感じます。

しかし、それは内容が優れているからではなく、自分が書いた直後だから読みやすいだけということも多いのです。

時間を置いてから読み直すと、誤字や論理の飛躍に気づくことがあるのは、このためだと考えられます。

自分の理解度を、自分では正確に判断できない

実は、人は自分の理解度を、思っているよりも正確に判断できないことがわかっています。

ある実験では、いくつかの二択問題を解いた直後に「自分は何点取れたと思うか」を予想してもらいました。

その結果、自信満々に「絶対合っている」と答えたときでも、実際の正答率は7〜8割程度にとどまっていました。

つまり、「わかった」という感覚そのものが、実際の理解度より高めに出やすいのです。

これは能力の問題ではなく、誰にでも起こりうる心の癖だと言えます。

この過信が起きる理由の一つは、一度選んだ答えを、自分に都合よく正当化してしまうことにあります。

「この選択肢で合っているはずだ、なぜならこう考えられるから」というように、正しさを裏付ける理由ばかりを探してしまうのです。

反対に、その答えが間違っている可能性については、あまり考えようとしません。

この癖を知っておくだけでも、模試の自己採点をするときの見方が変わってくるはずです。

既卒生が「わかったつもり」に陥りやすい理由

ここでは、なぜ既卒生がこの錯覚に特に陥りやすいのか、状況を見ていきましょう。

同じ過去問を何周もすることで起きる「読み飛ばし」

既卒生の多くは、同じ過去問題集を何周も繰り返し解いています。

2周目以降になると、答えを覚えているため、問題文をきちんと読まずに進めてしまうことがあります。

こうした「読み飛ばし」が起きると、実際には理解が深まっていないまま、周回数だけが増えていきます。

「もう3周したから大丈夫」という安心感が、かえって錯覚を強めてしまうこともあるのです。

一人での学習だと、理解度を確認する機会が少ない

また、既卒生は一人で学習する時間が長くなりがちです。

授業のように、その場で先生に質問されたり、説明を求められたりする機会が少なくなります。

誰かに説明する場面がないまま復習を続けると、「わかったつもり」に気づくきっかけも失われてしまいます。

これは環境的な要因であり、決して本人の努力不足ではありません。

「わかったつもり」から抜け出すための考え方

ここからは、この錯覚をどう防いでいくか、その考え方を整理していきます。

メタ認知を働かせるとはどういうことか

こうした錯覚を防ぐカギになるのが、「メタ認知」という力です。

これは、自分の理解や行動を、一歩引いた視点から客観的に見つめる力を指します。

「本当にこれは理解できているだろうか」と、自分に問いかける習慣を持つことが、メタ認知を働かせる第一歩になります。

問いのレベルを変えると、理解の深さが変わる

同じ内容を復習するときでも、自分に投げかける問いの種類によって、記憶への残り方が変わることが知られています。

例えば、「本文と同じ表現はどれか」という問いは、文章をそのまま覚えているかどうかを確認するだけの問いです。

一方、「本文と同じ意味のものはどれか」という問いは、内容を自分の言葉に置き換えて理解できているかを確認できます。

さらに、「本文の内容から判断して正しいのはどれか」という問いになると、単なる理解を超えて、応用できるかどうかまで試されます。

看護師国家試験の状況設定問題は、まさにこの「判断」を求める問いに近いものです。

過去問を解くときも、「答えを覚えている」で終わらせず、「なぜこの判断が正しいのか」まで踏み込んで考える習慣が大切になります。

「読む」から「思い出す・説明する」への転換

メタ認知を働かせるための具体的な方法が、「読む」から「思い出す・説明する」への転換です。

解答を読んで終わりにするのではなく、解答を見る前に、自分の言葉で答えを説明できるか試してみましょう。

うまく説明できなければ、それは「わかったつもり」だったというサインです。

反対に、きちんと説明できたなら、それは本当に理解できている証拠だと言えます。

実際に、ただ読んで学習するよりも、途中で自分の力を試す機会をはさみながら学習した方が、最終的な記憶の定着が良くなることもわかっています。

「思い出す」という行為そのものが、記憶を強める練習になっているのです。

今日からできる模試の復習法3選

理論を踏まえて、今日から実践できる復習法に落とし込んでいきましょう。

解答を見る前に、自分の言葉で答えを説明してみる

模試や過去問の復習では、解答を見る前に、まず自分の言葉で答えとその理由を説明してみてください。

うまく言葉にできない部分こそ、本当に復習が必要な箇所です。

紙に書き出しても、声に出して説明しても構いません。

大切なのは、「見て納得する」のではなく、「自分の力で取り出す」というひと手間を加えることです。

「なぜ」を一段階深く問い直す

正解した問題についても、「なぜこの答えになるのか」を一段階深く問い直してみましょう。

たまたま正解しただけの問題は、次に似た形で出題されたときに対応できないことがあります。

例えば、正解した問題の他の選択肢についても、「なぜこれは間違いなのか」を説明できるか試してみてください。

すべての選択肢について理由を言えるようになって初めて、その問題を本当に理解できたと言えます。

頼れる相談相手に、自分の理解を説明してみる

とはいえ、自分一人で「わかったつもり」に気づくのは、簡単なことではありません。

誰かに説明しようとする過程で、初めて自分の理解の穴に気づくことも多いものです。

私は、1対1のオンラインコーチングを通じて、学んだ内容を言葉で説明してもらう時間を大切にしています。

自分では気づけなかった「わかったつもり」を、対話の中で一緒に見つけていきます。

頼れる相談相手に説明してみることも、「わかったつもり」から抜け出す有効な方法です。

「わかったつもり」から、「本当にわかった」へ

ここまでの内容を、あらためて振り返ってみましょう。

模試を復習しても同じ間違いを繰り返してしまうのは、能力の問題ではなく、「わかったつもり」という錯覚が原因かもしれません。

このスラスラ感・見覚え感は、繰り返し過去問を解く既卒生ほど陥りやすいものです。

また、一人で学習する時間が長いことも、この錯覚に気づく機会を減らす要因になっています。

大切なのは、解答を読んで終わりにせず、自分の言葉で説明できるかを確認するという一手間です。

「なぜ」を一段階深く問い直し、ときには誰かに説明してみる。

この小さな習慣の積み重ねが、「わかったつもり」を「本当にわかった」に変えていく力になります。

真面目に取り組んできたあなたの努力は、決して無駄ではありません。

復習の仕方を少し変えるだけで、その努力は着実に結果へとつながっていくはずです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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